健康笑百科 Vol.59(2012.10.14)





【柿と松茸】


柿で一番印象に残っているのが もう数年前になるが、四国八十八ヵ所歩き遍路をしている時、お接待で頂いた柿である。美味しかった。 柿を丸かじりしたのは初めてであった。自宅に居る時は、柿は皮を剥き食べていたが、歩いていることもあり余りにも艶が良く美しかったので、 思わずかじり付きました。適度な水分と甘さが、歩き疲れた身体を癒してくれました。


秋の味覚柿は、何といってもビタミンC!甘柿に含まれているビタミンCはレモンやイチゴに決して負けてはいないのです。 ほかにも、ビタミンK、B1、B2、カロチン、タンニン(渋味の原因)、ミネラルなどを多く含んでいるため、「柿が赤くなれば、医者が青くなる」 という言葉があるほど、柿の栄養価は高いのです。また、「二日酔いには柿」といわれている訳は、ビタミンCとタンニンが血液中のアルコール分を外へ排出してくれるからで、 豊富なカリウムの利尿作用のおかげともいわれています。柿は葉にも、ビタミンC、K、B類が多く含まれていて、血管を強化する作用や止血作用があるそうです。 だから、柿の葉茶などもよく飲まれていますね。余談ですが、タンニンは毒蛇(マムシやハブ)に噛まれたときの解毒にも効果があるようです。


次に秋の味覚で忘れてはいけないのが、松茸です。焼いてよし炊いてよし、様々な味と香りが楽しめます。 成分的には、ほとんどが水分(約88%)で、ビタミンB2、Dのもと、カリウムも多く含んでいて、まつたけ独特の香り成分「マツタケオール」は、 がんの予防にも期待されている成分です。等たくさんの効用はありますが、効用の方は、他のきのこ類(椎茸、シメジ等)に任せておいて、 秋にしか味わえない食材『松茸』を楽しめばいいのではないでしょうか。


"香り松茸"、その独特の芳香は「万葉集」の歌にも詠まれているほど。また、松茸狩りを平安時代の貴族や歌人が季節行事にしていたとも言われており、 昔から日本人に愛されている食材の1つです。芭蕉の句にも「松茸や知らぬ木の葉のへばりつく」は、目の付けどころがおもしろいですね。 松茸に何か知らない木の葉がべったりとへばりついている。まるでその木の葉のように、顔見知りの支考にべったりとへばり付いて、見知らぬ男がやって来たよ、 という意。何気ない写生句のようであるがこれは寓意の句とされています。


ところがこの松茸の香りを好んで食べるのは日本人位のようで、海外ではこの香りが逆に臭いと感じられるようです。ヨーロッパのトリュフのようですね。 世界には、それぞれの文化があり、四季の楽しみ方も違います。良い悪いではなく自分がどの様に楽しむかが大切だと思います。 栄養栄養 効率効率 ばかり言わないで たまには「柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺」(正岡子規) を楽しみたいですね。



【なぞかけ コーナー】


松茸 とかけて

三年目の夫婦 ととく

そのこころは

どちらも 飽き(秋)が来て 妬く(焼く)こともあります



川柳:栄養は 松茸より 椎茸だ   



【おまけ】 

小噺『柿栗松茸』
晩秋、柿が「寒い」と言いながら栗の上に落ちた。栗も寒いと言うので柿:「何が寒い。おまえはいがを着て、皮を着て、その下に渋皮を着ているやないか」とけんかしていると、横から松茸が「おれを見てみい、この寒いのにふんどしもしてへん」

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