きく臓の落語歳時記     Vol.94 (2015年 霜月)



【七五三と笑い】


秋も深まり11月となりますと忘年会、カレンダー、年賀状等 終わりと始まりで何となく忙しないですね。11月の庶民の大きな行事と言えば「七五三」ですね。ネットで調べてみますと、七五三(しちごさん)は、7歳、5歳、3歳の子供の成長を祝う日本の年中行事で、天和元(1681)年11月15日(旧暦)に館林城主の徳川徳松(江戸幕府第五代将軍 綱吉の長男)の健康を祈って始まったとされる説が有力です。


子供の成長を祝う落語はないですが 子供の成長で親が助けられる落語としては「子別れ」「しじみ売り」等があり、やんちゃな子供が登場する落語は「いかけや」「佐々木政談」等があります。今回は、丁度七歳位の息子が登場する「子別れ」をご紹介します。


「子別れ」あらすじ


神田堅大工町にすむ大工で熊五郎。腕はいいのだが、惜しい事に、酒乱で女好きというからタチが悪い。いよいよ、かみさんも堪忍袋の緒が切れ、壮絶な夫婦げんかの末、妻のお光が「もう愛想もこそも尽き果てた」とせがれの亀坊を連れて家を出てしまう。


あれから三年の月日がたったある日、友達と遊んでいる我が子亀と出会い、話を聞くと、あれ以来、お光は女の身とて決まった仕事もなく、炭屋の二階に間借りして、近所の仕立て物をしながら亀坊を育てているという。再婚話に耳も貸さず、母子二人でつましく暮らしている様子だ。面目ない思いでいっぱいになった熊さんは、せがれに五十銭の小遣いをやって「明日、もう一度会って鰻をご馳走する」と約束してその場を去った。別れ際に、『俺と会った事はおっかあには内緒にしろよ』と告げて…。


一方、家に帰った亀坊は、もらった五十銭を母親に見つかり、厳しい詰問を受ける事になった。 親父と『男の約束』をしている亀は本当のことが言えず、「知らないおじさんにもらった」とごまかすが、もの堅い母親は聞き入れようとしない。とうとう思いつめてしまい、夫の『形見』である金槌を振り上げ、「貧乏はしていても、おっかさんはおまえにひもじい思いはさせていない…これでぶてば、おとっつあんが叱るのと同じ事だよ。さ、どこから盗ってきたか言わないか」泣いてしかるものだから、亀は隠しきれずに父親に会ったことを白状してしまう。


それを聞いたお光、翌日亀坊に精一杯の晴れ着を着せて送り出してやるが、自分もいても立ってもいられず、そっと後から鰻屋の店先へ…。二人は相撲の取り組み見たい見詰め合ったまま、お互いは動こうとしない。とうとしびれを切らした亀が、「もう一度一緒に暮らそう…そういいたいんでしょ?仲直りしておくれよ」。それがきっかけで、ようやく二人は話し出す。「昔から、『子は鎹』と言うが本当だな」しみじみとなる夫婦に、横で見ていた亀が一言こう言った。


「『子は鎹』…か。道理で、おいらの事、トンカチで打つって言ったんだ」


注)『子は鎹』:子供は夫婦の仲を繋ぎとめてくれるものだというたとえ。「鎹(かすがい)」とは、材木と材木とをつなぎとめるために打ち込む、 両端の曲がった大きな釘のこと。


現在は「子は鎹」どころか 子供が原因で離婚する夫婦が多いですね。次の世代を育てる。これは動物としての本能であり、義務でもあります。子育ては、苦労ではなく楽しんでください。  子供に関する、こんなサラリーマン川柳(第一生命)があります。


・夢をくれ 地獄もくれた かわいい娘
  ・かわいい子 旅をさせたが 帰らない 
  ・あれ程に 塾に通って 普通の子 
  ・親の夢 次々消して 子は育つ
  ・子をご覧 仲の良い時 できた子よ


【なぞかけ コーナー】


子育て とかけて

環境汚染 ととく

そのこころは

どちらも  紫煙(支援)や大気(待機)で揺れます 



川柳:宿題に 子は鎹と 頭打つ       

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