きく臓の落語歳時記     Vol.61(2013年 如月)



【鬼と笑い】


1月が終わり、いよいよ立春2月と「節分(せつぶん)」ですね。 節分とは本来、「季節を分ける」つまり季節が移り変わる節日を指し、 立春・立夏・立秋・立冬それぞれの前日に、1年に4回あったものでした。 ところが、日本では立春は1年のはじまりとして、特にに尊ばれたため、 次第に節分といえば春の節分のみを指すようになっていったようです。 立春を1年のはじまりである新年と考えれば、節分は大晦日(おおみそか)にあたります。 平安時代の宮中では、大晦日に陰陽師らによって旧年の厄や災難を祓い清める「追儺(ついな)」の行事が行われていました。 室町時代以降は豆をまいて悪鬼を追い出す行事へと発展し、「魔の目(魔目=まめ)」に豆を投げつけて「魔を滅する(魔滅=まめ)」 に通じるということで民間にも定着したようです。


鬼(おに)は、日本の妖怪。民話や郷土信仰に登場する悪い物、恐ろしい物、強い物を象徴する存在である。 「鬼」という言葉には「強い」「悪い」「怖い」「ものすごい」という意味もある(鬼 (曖昧さ回避)でも説明)。 また、なまはげ(秋田)やパーントゥ(宮古島)など、各地で様々な呼び名があり、角があったり、みのを着ていたり、 全身泥だらけなど姿も様々でありますが、落語に出てくる鬼は どこか抜けた愛嬌のある鬼たちである。


鬼が出てくる落語はないかなと考えてみますと、「地獄八景亡者の戯れ」等があります。内容は地獄を巡るというものですが、 最後には人呑鬼に飲み込まれた4人が、鬼のお腹の中で悪戯をするので、もう我慢が出来なくなった鬼が、閻魔大王に向かって、 “「こうなったら、もう、あんたを呑まなしょうがない」「わしを飲んでなんとする」「大王呑んで下してしまうのや」”というのが落ちです。 閻魔大王の“大王”と、漢方薬で、下剤の“大黄(だいおう)”を掛けているのです


大黄(だいおう)には消炎・止血・緩下作用があり、瀉下剤として便秘薬に配合されるほか、 漢方医学ではそれを利用した大黄甘草湯に配合されるだけでなく、活血化?作用(停滞した血液の流れを改善する作用と解釈される) を期待して桃核承気湯などに配合されている。貴重な生薬です。


もう一つは「鬼笑い(おにわらい)」と言う噺があります。落語家が死んで地獄行きが決まりかけた時、 閻魔大王が、悪鬼羅刹という百年このかた笑ったことのない鬼がいるが、これを笑わせることが出来たら極楽へやってやると言う。 そこで落語家が悪鬼羅刹の耳元で何やら囁くと、もう鬼は笑い出した。閻魔大王も驚いて、何を話したのじゃと尋ねると、「来年の話をしました」


皆さんの身の回りの鬼は どんな鬼が居られますか。鬼の上司、鬼の妻等様々な鬼が居られるとは思いますが、顏は鬼ですが、 心優しい貴方のことを一番大切にしてくれる鬼さん達です。人はなかなか鬼になるより、良い人でありたいのですが、 たまには鬼になり人財育成をしたいものですね。



【なぞかけ コーナー】


 とかけて

歩きお遍路 ととく

そのこころは

どちらも  いつもまめ(豆)が痛いです



川柳:飲み過ぎて 家締め出され 鬼は外   

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